老化細胞死誘導
ダサニティブ・クエルセチンという薬剤を聞いたことがあるだろうか。2018年にnature medicineで発表された薬剤である。これらの薬剤を投与することで体内の老化細胞を除去することができる。老化した細胞を取り除くことで、驚くべきことにマウスの最大寿命・健康寿命がともに増大したのである。これは非常に興味深い事実である。従来から老化細胞の存在は周囲の細胞に老化を拡散することが知られていた。そのため、老化細胞の除去は理論的に個体老化に対抗する優れた手段である。しかしながら、老化細胞の除去のみでは個体老化は止まらない。これはすでに分裂上限を迎えた幹細胞が、それ以上細胞の供給を行うことができないことが問題だと考えられる。この事はやはり細胞の置き換えが重要であることを示唆している。